2014年6月、弊社が施工を行った「江の島 湘南港ヨットハウス」がオープンしました。ヨットの聖地・江の島に新設された本施設は、ヨット利用者のみならず一般の方も自由に利用ができるフリーラウンジやカフェが併設されたオープンな空間で、新たな観光スポットとして注目されています。本施設の最大の特徴は、「湘南の波とヨットの帆」をイメージした面積約2000平方メートルを超える”波打つ”一体成形屋根です。設計事務所の要求による今までに例の少ない「3次元自由曲線」という複雑な構造を、弊社の建築技術とノウハウが実現いたしました。
また今回の施工技術に対しては各方面から称賛の声を頂き、第58回神奈川建築コンクール優秀賞を初め、神奈川県建築士会賞、神奈川県建設業協会賞の3つを受賞することができました。
建物の最大の特徴である屋根は、鉄筋コンクリート構造で複雑な屋根の形状を生み出すため、3次元データを用いて設計が行われました。非常に施工難易度が高く、型枠工事はNC加工機にて材料を切り出し組み立てられ、屋根の軽量化のためポイドスラブ(発砲樹脂系の球)を使用、鉄筋工事は曲面になじませるため、D16からD13に変更し本数を増やして施工しました。
目のような形をしたオープンビームと呼ばれる特徴的な開口部です。注目すべき点は屋根に7つのスリットが入っていることです。ここが自然光を採り入れるハイサイドライトになるとともに換気にも効果を発揮します。
通常、屋根に開いた切れ目は弱点となりますが、両側に柱を立て、目のような形をした開口部自体を鉄骨の梁としてしまうことで弱点を克服しています。
鉄筋コンクリート大屋根を細い鉄骨柱で支え、水平力は鉄筋コンクリートの耐震壁で受けもっています。こうして広々とした大空間が実現し、海の眺めを楽しめる広場ができあがりました。
tvk(テレビ神奈川)2015年 1月
江の島湘南港ヨットハウスは、1964年の東京オリンピックのヨット競技会場のメイン施設として整備されましたが、老朽化や耐震性などの問題から新しく建築することになりました。「三次元自由曲面」屋根施工というこの難工事にまつわる話も交えて収録されています。江の島の新しいシンボルのひとつとしてその存在感が伝わってきます。
所在地:神奈川県藤沢市
竣工年月:2014.04
敷地面積:44,592.82㎡
建築面積:2,052.09㎡
延床面積:3,399.39㎡